埼玉県の公立高校入試は英語・数学・国語・理科・社会の5教科で、試験時間は各50分です。英語と数学のみ「学力検査問題」と「学校選択問題」の2種類に分かれており、学校ごとにどちらかを採用。県立浦和高校の入試では、より応用的な内容である学校選択問題のほうを解くことになります。今回は浦和高校の特徴と、各教科の対策法を見ていきましょう。
浦和高校の特徴は? 部活動や東大合格者数、進学実績をチェック!
埼玉県さいたま市浦和区に所在する浦和高校は、全国的に珍しい公立の男子校で、尚文昌武(文をたっとび、武をさかんとす)という、文武両道に通ずる教育の精神をかかげています。
その学習カリキュラムは、2年次で中高一貫校に追いつくために、数学・国語・英語の主要3科目の内容は2年間で完了させるというもの。進学実績は埼玉県トップで、公立高校ながら、東京大学の合格者数は多いときで40人を超えます。
他にも早稲田大学や慶應義塾大学に、数十人~100人単位で合格。京都大学や北海道大学といった国立大学にも、関東で最も大勢の合格者を輩出しています。
また、スポーツが盛んな学校でもあり、ラグビーや水泳、剣道は全国レベル。バスケットボールやサッカー、野球も県大会レベルなので、まさに尚文昌武を体現しているといえるでしょう。
浦和高校に入るにはどう勉強すればいい? 埼玉県の公立高校入試の傾向を分析!
英語
英語は大問4題構成で、例年と変わらず1がリスニング、2が対話文読解、3が長文読解、4が英作文となっていました。
大問1のリスニングはほとんどの問題が平易で差がつきませんでしたが、一部、難易度の高い問題がありました。英語を聞き取る能力だけではなく、そこから正解を導く総合的な能力を養うことが重要です。大問3の長文問題は語数が750程度とかなり長く、配点も34点と高い配分となっており、速読力が求められます。また、設問の最後に登場する要約文空所補充問題は、本文の内容をつかみつつ、要約文の流れに合わせ空欄に2語を考えて入れるというもの。例年、正答率が低くなっています。
大問4の英作文は、テーマとなる英文を読み、与えられた条件に沿って40語以上50語程度の英文を書くという条件英作文です。他の大問に多くの時間を使いたいということを考えて、英作文で使える時間は5分程度です。まずは文法・語彙を確実に身につけ、そのうえで読解練習を数多くこなし、速読力をつけていくのがオーソドックスな対策になるでしょう。
英作文はすぐには上達しないため、基本例文をもとに、条件に合わせ50語程度の英文を書く練習をしておく必要があります。書いた英作文は、学校や塾の先生などに添削してもらうとなおよしですね。
数学
浦和高校の入試における数学は、英語同様に学校選択問題です。浦和高校など“御三家”受験生にとって、数学は最もシビアに実力差が出る教科であり、2023年度の浦高の合格者平均は72点(自己採点集計)と5教科の中で最も低い数字となりました。学校選択問題は単なる知識を問われるだけでなく、思考力や判断力が試されます。計算問題の配点は12点ですが、油断するとミスが起きるので、計算一つひとつのルールに忠実に従いながら解くべきです。
大問5はここ数年と同じく空間図形の問題でした。(3)の問題は2023年度の数学の問題の中でもっとも難しいともいえる難問で、御三家合格者の通過率は約5%。非常に難しい問題でしたが、一手一手を着実に判断し、時進めていけば必ず正解にたどり着きます。解答に時間がかかる問題も出題されるので、日頃から時間配分をきちんと決めて演習しましょう。
埼玉県の図形における求積問題では、平面でも空間でも、割合や比を駆使する問題の難易度が高くなる傾向にあります。ですが、その基礎は小学校での内容です。それを高度に活用し、道具として使いこなす練習を積み、難易度の高い図形問題を完全攻略していきましょう。
問題演習を通し、提示された条件を正確に把握する力、正確に解くスピード、そして緻密に計算しながら解き進める力を養ってください。
国語
国語は小説、知識事項、論説文、古典、課題作文の5題構成で、解答形式も例年通りでした。一部難しい問題はあったものの、難易度的には例年と変化はありませんでした。小説では問3と問5で合格者と不合格者の正解率の差が大きく開き、問3では合格者は90%近くが正解しているのに対し、不合格者は正解率が60%台となりました。
知識問題は主に中学1年生、2年生で学習した内容から出題されます。学校の教科書で繰り返し復習するとよいでしょう。一方で文章題は、記述問題の対策が欠かせません。埼玉県の公立高校入試の特徴は、空欄の穴埋め形式になっていることですが、過去問題を解けばコツはつかめます。まずは5年分の問題を解いてみれば、ほとんど本文中の言葉を使って解答を出せることに気づくはずです。解答根拠を探す練習を積んでください。
そして課題作文は、7分~10分で書く練習をしましょう。これ以上の時間をかけてしまうと、制限時間内に解けなくなる恐れがあるからです。採点は減点法ですので、上手な作文を書くのではなく、条件に従って書くという意識が求められます。
理科
理科は大問5題構成で、最初の大問は物理・化学・生物・地学の各分野から2問ずつ出題される、合計8問の小問集合です。さらに、物理・化学・生物・地学の各分野から大問が各1題で、大問計5題の出題となっています。2021、2022年度は各小問の配点は3点もしくは4点でしたが、2023年度は配点が5点の問題が2題出題されました。そのため、2021、2022年度は合計が30問だったのに対し、2023年度は合計が28問となりました。
難易度は例年変わりなく、標準的な問題が多いです。ただし、典型的な問題から一歩進んだ考えさせる問題が増えているので、何を求めればいいのかがわからないと、少々時間がかかるかもしれません。
まずできる対策は、基本的な知識を正しく定着させることです。教科書に載っている重要語句については、必ず自分で説明できるくらいになってください。
それに加え、教科書の実験・観察の内容について、目的・注意事項・作業工程・結果など、周辺知識まで総合的に理解するようにしましょう。理科は、着実に手を打てば高得点が見込める教科です。だからこそ、読み落としや計算ミスなどによって点数を落とさないよう、時間に余裕をもって問題に取り組めるとよいですね。
社会
社会は大問6題構成で、2023年度も例年と変化はありませんでした。1が世界地理、2が日本地理、3が江戸時代までの歴史、4が近現代史、5が公民、6が総合です。社会は受験生にとって得点しやすい教科であり、2023年度の問題は特に平易な問題が多かったです。
世界地図や地形図、グラフや資料を見て答える問題、近現代の年代順並べかえ問題、内容に合う選択肢をすべて選ぶ問題……など、教科書の基本事項が、毎年同じような形式で問われます。解答形式は選択式と記述式の併用で、特色や理由を説明する文章記述式の問題が、大問ごとにほぼ1題出てくるのが大きな特徴です。
対策としては、まず地理・歴史・公民の教科書の重要ポイントを正確に身につけてください。あとは、出題形式が例年同じであることから、過去問を解いて慣れること。特に文章記述問題は、定番とされる問題が頻出するので、練習をしっかり積んでおきましょう。
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年度 \ 教科 | 英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 | 3科 (英数国) |
5科 | |
2023年 | 学力検査問題 | 45.8 | 55.8 | 57.1 | 58.2 | 64.1 | 158.7 | 281.0 |
学校選択問題 | 56.7 | 50.5 | 164.3 | 286.6 | ||||
前年差異 | 学力検査問題 | -6.8 | +7.8 | -5.8 | +5.7 | +11.2 | -4.8 | +12.1 |
学校選択問題 | -1.6 | +7.9 | +0.5 | +17.4 | ||||
2022年 | 学力検査問題 | 52.6 | 48.0 | 62.9 | 52.5 | 52.9 | 163.5 | 268.9 |
学校選択問題 | 58.3 | 42.6 | 163.8 | 269.2 | ||||
2021年 | 学力検査問題 | 51.4 | 62.2 | 68.7 | 56.2 | 62.6 | 182.3 | 301.1 |
学校選択問題 | 61.6 | 56.0 | 186.3 | 305.1 | ||||
2020年 | 学力検査問題 | 52.2 | 67.9 | 57.2 | 51.1 | 55.4 | 177.3 | 283.8 |
学校選択問題 | 58.9 | 55.2 | 171.3 | 277.8 | ||||
2019年 | 学力検査問題 | 47.7 | 42.3 | 58.3 | 44.5 | 60.3 | 148.3 | 253.1 |
学校選択問題 | 64.3 | 53.5 | 176.1 | 280.9 |
埼玉県教育委員会公式サイトを元にスクール21で作成
上記の表は、埼玉県の公立高校入試の平均点を直近5年分まとめたものです。教科や年度によって結構なばらつきがありますので、過去問を解くときは、このデータを参考にしながら自分の学力を測るとよいでしょう。
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