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スクール21入試情報センター所長・宮川由三のGOGO合格Blog

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2012年09月01日

カテゴリ:イベントのご案内

 朝からどんより曇っていた。いつもよりもちょっと早く朝食を済ませ、念のために傘を持って家を出た。確かに暑いには暑いのだが、秋の訪れが見え隠れするようにも感じる。
  今日の北辰テストの会場は7月に受けたときと違って少し自宅から離れている。大宮駅で京浜東北線から宇都宮線に乗り換えて東大宮駅で降りる。練習のため、今日は友だちと行動をともにすることなく一人で来た。西口を出て栄東高校への道のりは初めてだったが、多くの北辰受験生(と思われる制服を着た中学生)の流れに流されながら無事会場に着いた。

  昇降口で上履きに履き替え、受付で渡された「座席カード」を頼りに自分の教室を目指す。入り組んだ廊下を何度も曲がって、階段を3階まであがりようやく自分の受験する教室にたどり着いた。はたして帰りは迷わずに昇降口にたどり着けるだろうか・・・不安がよぎる。
  そんなことより、“まず1教科目の国語のことを考えろ”ともう一人の自分が突っ込む。
  通っている塾の先生の言葉が頭をよぎった。濱口先生だ。

『7月以降の北辰は併願私立の受験に関して重要な意味を持ちますからね。事前の対策学習を含めて入試本番のつもりで取り組むこと。』
『先生、どんなふうに意味を持つんですか?』
『10月くらいから“個別相談会”に参加するようになるんだけど、その時に通知表のコピーや会場テストの成績個票を資料として持っていくのよ。高校では成績の基準を設けていて、その基準に達していると受験がとても有利になる。ほとんど合格が約束されちゃうことも珍しくないの。』
『それじゃあ入試本番とほとんど同じ意味があるじゃん。』
『全部が全部じゃないけどね。その個別相談に参加しないで受験するようなことは普通ないんです。』

  私は7月で失敗している。何としてもここは挽回しないと。夏期講習でしっかりと対策をした。過去問も解いたし、練習問題も解いた。あとは先生のアドバイスをよく思い出して実践するだけだ。特に私は計算ミスが多いから、問われなくても途中の計算をできるだけ丁寧に問題用紙に書いておかなくてはならない。これも重要な作戦のひとつだ。
  私は、濱口先生のアドバイスを箇条書きにした紙を取り出した。

 ①問題文、特に何を答えるのかをよく確認すること。シャーペンでなぞりながら問題文を読む。答えることが書かれた部分を丸で囲んでおく。
  ②解答用紙に空欄を作らないこと。わからない問題があっても、何かしら答えをかいておくこと。
  ③よくわからない問題があったらそれだけにとらわれず、先に他の問題に解答すること。
  ④解答欄をはみ出さない。
  ⑤姿勢を正して解く。左手で紙を押さえる。

  そうこうしているうちに「志望校記入」の時間が来た。うーん・・・第1志望は県立真星高校。でも7月の5科偏差値は57.6、4月の61.3からだいぶ下がった。でも、1回失敗したくらいで第1志望を変えるなんてことはできない。先頭は真星だ。よし!

  1教科目、国語の問題用紙が配られた。「試験開始」の合図とともにページをめくる。まずは漢字から解答する。「忠誠」と「労働」の書きはOK。企てるの読みは「くわだ(てる)」でよい。ひとつだけ「甚だしい」の読みがわからない。思い出せそうで出てこない!そうだ、ここは深追いせず、とりあえず(違うとは思うけど)「じん(だしい)」と解答欄をうめて次の問題にいこう。
  次は比較的自分にとって取り組みやすい「説明的文章」に行く。「今井むつみ」の文章だ。たしかどこかの県立の過去問で読んだことがあるけど、出ている箇所は違うようだ。
  まず「問」の内容を確認する。
  1問を除いて書き抜きと選択肢だけで解きやすそうだ。選択肢の文から、これは言語についての文章らしいことがわかる。そのことをふまえて、じっくりと本文を読む。読んでいる途中で解答できる問いにはアットランダムに解答していく。解答欄を間違えないように注意しながら。
  一通り読み終えたら残りの問いに答える。残りは選択肢問題が3つだ。問5と問6はわかったが、最後の問8だけが答えを絞れない。どれもはっきりしない感じがする。よし、ここは「間違い探し」でいこう。アは「世界の多様性に応じて」の部分が本文には書かれていない、イは「名前が定まらない」のところが多分誤り、エは「言語の違い」については本文に述べられていない。あまりしっくりとしないけど、残ったのはウなので解答欄に書く。
  その後、作文についての問題、小説文の問題を解いてあと5分。最後に見直しをして終了。

  休み時間の間、友人たちは今の国語の答えを確認し合っている。私にはそんな余裕はない。何といっても次は私の人生最大にして最強の敵、“数学”なのだから。7月の結果が悪かったのも、いつも以上に劇的に数学が足を引っ張ったからだ。せめて平均点くらい取れていれば5科偏差値は62くらいにはなっただろうと教室長の濱口先生は言っていた。
  かといって最大の敵を前にして、何かするというわけでもない。「まな板の上の鯉」である。しかし気持ちで負けてはいけない。特に数学の試験だけは入試本番のつもりで臨めとも言われた。その通りだ。平均点は絶対に死守する!おそらく50点くらいだろうと言われた。できれば60点を目標に取れるだけ取りきろうと意識を高める。

  試験開始。昨日宮田先生と2人でじっくりと立てた作戦通りに進める。
  まず大問1は基礎的な計算問題だが、これのみにきっちり5分かける。2分くらいで終わったが、5分間何回も計算しなおす。ここで、はじめの5分間で確実に25点を確保するためだ。(4)のミスに気づき、正しい解答を書き直す。そのあとは大問2から大問5間での独立小問題を一通り確認する。ここに10問程度の小問があるので、その中から気分的に解きやすそうなものを5題選び、○をつけておく。次の15分をかけてその5題に取り組む。選んだ5問のうち、1問だけわからない問題があったが深追いはしないで△を書いておく。この段階でまだ10分しかたっていないので、あと5分、他の問題の解き直しを行う。問題の条件を読み違えていないか、答えるものを間違えていないか、他の解法で解けるようならといてみて答えが一致するか。これで+15点。トータルで20分を要して40点確保(と思う)。
  次に、大問2から大問5のはじめに選ばなかった残りの小問に10分間取り組む。わからない問題、手間が相当かかりそうな問題はとばす。2問は手応えがあり、1問は答えは出したが合っている確証はない。これで+10点。最低ラインはクリアーしたはず。
  残り15分で重たい大問2題。普通ならこの2問で20分から25分かけるものだとのこと。まず大問6。(1)は普通に解けた。(2)はよくわからなかったが、選択肢だったのでイと書いておいた。(3)は問題文すら理解できないのでとばす。(一応「5秒後」とは書いた・・・。)ここまででトータル37分、55点。
  残りの8分で最後の大問7へ。
  (1)は証明の穴埋め。選択肢を選ぶ問題でこれは練習してあった。できた。+5点。
  (2)は全くわからないに等しい。(1)の合同を利用するのだろうなぁということは想像できるものの、どう利用するのかは見当もつかない。とりあえず出てきた数字を足したり引いたりしてそれっぽい答えを解答欄に書いた。
  残り2分と言うところで、予定通りミスがなければ60点に届く。生まれてはじめて数学の自己採点が楽しみな気分になった。奇跡だ!

  そう、この作戦は、“数学がとにかく苦手な人のための作戦”だったのだ。どんなに苦手でも、取れるはずの問題は存在する。必要以上に苦手意識を持ってしまうと、難しい問題に意識が奪われ、本来落ち着けばできるはずの問題を落としてしまうのだそうだ。だから、難しめの問題に当てる時間を強引に削り取り、本来できるべき問題に十分な時間をかける。
  また、全体が終わってから見直すのではなく、小さなまとまりごとに見直すのもポイントだそうだ。全部終わってからの見直しでは、はじめに解いた問題の印象が薄れてしまうため、数学が苦手な人にとっては特に効率が悪くなってしまうとのこと。さらに、順番に解いていくとわからない問題に必要以上つきあってしまい、結果的に時間が足りないと言う状態になるという。思い当たる節だらけだった。