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スクール21入試情報センター所長・宮川由三のGOGO合格Blog

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2013年3月11日

カテゴリ:イベントのご案内

 午後3時、中3生のほぼ全員が塾に集合した。すべての入試が終了し、慰労会が開かれた。  教室長の濱口先生の長い話から会は始まった。

「皆さんこれまで本当にお疲れさまでした。本当はこの話はこの会の一番最後に皆さんを送り出す言葉として話すつもりでいました。でも、今皆さんが感じている皆さん自身の気持ちが、いい場合もそうでない場合もクリアーであろう、会のはじめに話すことにしました。」
 ここで一呼吸、間があく。
「1月の22日から始まり、今日まで、長い入試が続きました。本当によく頑張ったと思います。正直に言って、たくさんの人が第1志望に合格を果たす一方、本来の第1志望ではない高校への受検に変更せざるを得なかった人もいますし、とても残念な結果と今一生懸命向き合っている人もいます。1年間言い続けてきましたが、入試は本当にシビアです。」

 先生の話は慎重に言葉を選びながら進められる。

「でもね、世の中に出たらもっとシビアなことがたくさんあるし、理不尽なことすらあるかもしれない。そんなことを嘆いたり愚痴ったり、逃げまどったりする人も多いかもしれないけど、それでは何にも解決しない。」

「この入試の試練は、そのときのみなさんの力に少なからず役に立つはずです。なぜなら、一人残らず全員が、この高校入試に対してしっかりと向き合い、自分の可能性を信じて、ときには挫折しかけながらも最後までしっかりと頑張り通しました。入試がうまくいった人もそうでなかった人も、この1年間の経験は必ず今後の人生の糧として大きな意味を持つことだと思います。私は、皆さんといっしょに勉強できて本当によかった。私はあなた方を誇りに思います、心から。」

「正規の生徒として在籍するのは今日が最後の日となりますが、この場所は、これからも、いつまでもあなた達の場所です。このあとも、辛いことがあったとき、嬉しいことがあったとき、何かを頑張って成し遂げたとき、また、特になにもなくても、顔を出してくださいね。皆さんの喜怒哀楽の表情で、できればたくさんの笑顔で、これからもこの教室の空間を彩ってください。」

「この空間は私たちと皆さんの場所です。そのことを忘れないで。私が皆さんに伝えたかった最も大切なことです。」

 たくさんの人が涙を流していた。先生たちも同じ。多分それぞれの人が、これまでの最も過酷だった出来事と、これまでの最も嬉しかった出来事を走馬燈のように思いを駆けめぐらせながら濱口先生の話に聞き入っていたに違いない。

 その後、全員の先生方から一言ずつねぎらいの言葉が述べられた。
 生徒全員によるビンゴ大会では、はじめにビンゴになった人から景品を手にするが、結局最後の一人がビンゴになるまで続けられた。ビンゴになった人はもう一枚ビンゴカードが配られ、2回目のチャレンジをした。結局、用意されていた景品は生徒の数よりずっと多かったのだ。

 “選抜(くじ引き)”された先生方による“激辛ピザ早食い大会”はまさに抱腹絶倒!ピザに大量のタバスコをかけ、高木先生、森末先生、林先生、そして紅一点、柴崎先生の4人が水なしで一気に食べるのだ。ただそれだけである。
 ピザに激辛タバスコをかける役割を担うのは希美だ。あの心優しいはずの希美が悪魔に見えるほど情け容赦なく、まるで何かにとりつかれたように不気味な笑みを浮かべながら4枚のピザにきっちり4本のタバスコをかけきった。もし、今この場に来た人がいたとしたら、それがピザだとは絶対思えないような、真っ赤な円盤が4つ、机の上に用意された。
 このあとどうなったか?それはとてもここにはかけない(笑)
 でも4枚のピザはすべて誰かしらの胃袋に収まった。

 先生方の合唱もあった。濱口先生がピアノの伴奏をした。初めて女性らしい所作を目撃したかも。「栄光の架け橋」と「手紙」の2曲が私たちに送られた。またみんな泣き出した。西城先生と広中先生は泣きじゃくりながら奇声をあげるように歌っていた。最後は全生徒も混じっての大合唱だ。

 その後もいくつかの出し物があり会は終盤に。150分があっという間だった。
 最後に、生徒を代表して私が思い出を語ることになっていた。


(7時間ほど前・・・)
『今日慰労会やるでしょ。その最後のときに生徒を代表して思い出を語って欲しいんだけど・・・やってくれるよね?』
 濱口先生に頼まれると、それも優しくいわれると断れない。
『えっ、は、は、はい。。。』
 慰労会が始まる午後3時までの4時間、私はこれまでの1年間をゆっくりと思い返した。たくさんのことが思い出された。私はそれを文章に起こすことにした。とても空では話せなそうだから。

「では最後に、生徒を代表して谷川さんに塾での思い出をスピーチしてもらいます。じゃあお願いね。」

「はい。」
 私は便せんを取り出しゆっくりと読み始めた。

いざ想い出をと思って思い返そうとすると、実はなにも思い浮かびませんでした。入試を終え、すべてが飛んでしまったかのようでした。でも、つい最近まで格闘した問題集やの受験道具を並べてみると、これまでのことがゆっくりと、でも鮮明に思い出されてきました。数十冊の数学のノート、そこには悔し涙のあとや、むしゃくしゃして消しゴムを強くこすりすぎて破れかけたのをそのまま提出したら、セロテープで補習されて返されていたあとや(今ではセロテープが色あせている)、先生の厳しくも優しい前向きなコメントや、未熟な数学力が少しずつ成長していった足取りが確かに見えました。のんきだった1学期、ぶつくさ文句をみんなで言い合いながらも朝から晩まで勉強した夏期講習。秋から冬へと移り変わる季節感を肌で感じながらよろこびと悔しさを繰り返した2学期。たくさんのことがノートを見ていると思い出されてきました。

とても辛かった。
『もういけるところでいいかな』と思いかけたこともありました。
問題を解くのも、解けなくて悔しくてイライラして鉛筆の芯を何度も折ったのも、模試の結果が悪くて落ち込んだのも、みんな一人で、でした。

でも、
私は決してひとりぼっちではありませんでした。教室に行けば愚痴を聞いてくれる友だちもいたし、一生懸命立ち向かっている人の姿に勇気づけられたり、思い悩んでいることを長い時間聞いてくれた先生も。その場所にいるだけで前向きになれました。挫折しかけても立ち上がることができました。
私一人だけでは押しつぶされてたと思います。たくさんの仲間たちの中で、また、私自身もたくさんの仲間たちの一人として、お互いに支え合うことができたのだと思います。素晴らしい仲間たちとの出会いに、そして人生の大きな転換点となるこのときを、共有できた奇跡に心から感謝します。ありがとう。

たくさんの想い出と、未来への希望と、ほんの少しの不安を胸にだいて、
私たちは今、この場所を旅立ちます。
寂しくないと言えば嘘になります。でも、いつでも好きなときにこの場所に戻って来られる。
未来の私はどんな姿だろう。どんな人間になっているだろう。
この先もいろいろなことが起きるだろうし、嫌になることもたくさんあると思います。
でも、そのたびにきちんと向き合って、そのときの私にできる最善を尽くすことを誓います。
それが、この場所で、先生方やたくさんの仲間とともに得た、キラキラした宝石のようなものだから。

これまでいっしょに苦楽をともにして頂いた皆さん、本当にありがとうございました。
これまで私たちを心の底から本気でご指導頂いた先生方、誰よりも厳しく、同時に誰よりも優しい先生方、本当にありがとうございました。

時々、ほんの少しだけ成長した自分を見せに、この場所に会いに来ます。そのときはよろしくお願いします。

3Uクラス 谷川 智恵